
写真提供 野田 信一氏 |
韓国旅行に行ったとき、お宮の境内で品のある鳥を見かけた。カラスよりはやや小さく、肩羽と腹面とが白いほかは黒色で光沢があり、なんとなく高貴な雰囲気をもっている。日本では、北九州に生息し朝鮮鳥とか高麗鳥といわれるカササギだった。
個人的には、それまで一度も見たことがなく、その名前も百人一首で歌われている鳥としてしか知らなかった。
かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける
−中納言 家持− |
この歌は、陰暦7月7日(七夕)の夜、牽牛星・織女星が逢うとき、かささぎが翼を連ねて天の川に橋をかけ、織女星を渡すという中国の言い伝えによるものだという。天上の優雅な伝説の幻想と、静粛な宮中の霜のおりた寒い夜の現実とが趣深く溶けあい、いかにも古典らしい詩情あふれた作品で、かねてよりかささぎという鳥を見てみたいものだと願っていただけに、感激もひとしおだった。とは言うものの、行く先々どこででも目にすることができたので、正直いうと韓国を離れる頃にはその感激も半減していた。 |